学ぶ時間が足りていません。

令和3年度に、厚生労働省が実施した「能力開発基本調査」をご存じでしょうか?
企業調査・事業所調査・個人調査の3種類があり、その結果が厚生労働省のWEBサイトで公開されました。

「能力開発基本調査」って?

この調査は、日本の企業、事業所及び労働者の能力開発の実態を明らかにし、人材開発行政に資することを目的として実施しているものです。

調査項目は?

  • (1)企業の概要
  • (2)OFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用
  • (3)能力開発の実績・見込み
  • (4)労働者に求める能力・スキル
  • (5)事業内職業能力開発計画及び職業能力開発推進者
  • (6)教育訓練休暇制度及び教育訓練短時間勤務制度の導入状況

調査結果

企業調査】
 1 教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は50.5%(前回50.0%)
 2 OFF-JTに支出した費用の労働者一人当たり平均額(令和2年度実績)は1.2万円(同1.5万円)
   自己啓発支援に支出した費用の労働者一人当たり平均額(令和2年度実績)は0.3万円(同0.3万円)
 3 教育訓練休暇制度を導入している企業は9.7%(同8.9%)
   教育訓練短時間勤務制度を導入している企業は7.5%(同6.8%)
 
【事業所調査】
 1 計画的なOJTについて、正社員に対して実施した事業所は59.1%(同56.9%)、
   正社員以外に対して実施した事業所は25.2%(同22.3%)
 2 能力開発や人材育成に関して、何らかの問題があるとする事業所は76.4%(同75.0%)
 3 キャリアコンサルティングを行うしくみを、正社員に対して導入している事業所は41.8%(同37.8%)、
   正社員以外に対して導入している事業所は29.7%(同24.9%)
 
【個人調査】
 1 OFF-JTを受講した労働者は30.2%(同29.9%)
   ・雇用形態別では「正社員」(38.2%)が「正社員以外」(15.8%)より高い
   ・性別では「男性」(36.3%)が「女性」(23.4%)よりも高い
   ・最終学歴別では「中学・高等学校・中等教育学校」(23.5%)が最も低く、
   「大学院(理系)」(61.4%)が最も高い
 2 自己啓発を実施した労働者は36.0%(同32.2%)
   ・雇用形態別では「正社員」(44.6%)が「正社員以外」(20.4%)より高い
   ・性別では「男性」(42.7%)が「女性」(28.1%)よりも高い
   ・最終学歴別では「中学・高等学校・中等教育学校」(23.9%)が最も低く、
   「大学院(理系)」(71.5%)が最も高い
厚生労働省WEBサイトより抜粋

もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

気になったのことは、OFF-JTを受講した人が、個人調査では30%であったことと、自己啓発等を実施した人では36%だったことです。

OFF-JTというのは?

Off-JTとはOff-the-Job Trainingの略称であり、日常の仕事を通じて教育を行うOJTに対し、職場や通常の業務から離れ、特別に時間や場所を取って行う教育・学習をいいます。

平成28年社会生活基本調査の結果

ここで、総務省の平成28年社会生活基本調査の結果を見てみましょう。

この結果では、社会人が仕事以外で学習や自己啓発等に使った時間は、

なんと、

たったの6分だったのです!

学ぶ時間が足りません。

実際に仕事以外に学んでいる方が、3割程度しかいないことが分かりました。

しかも、少し前の統計になりますが、お仕事以外で学ぶ時間は、1日たったの6分です。

実際、仕事で手いっぱいだというのは重々分かっているのですが、それでも少し足りないかもしれないと感じました。

これは平均ですので、もちろん個人差があると思います。

実際にOFF-JTを実施しているのは、ほとんどが大学院卒の人であったことから、「学ぶ人はより学ぶ」ということなのでしょう。

この結果、どのように受け止めますか?